[一言で解説]
刑事裁判で有罪判決を受けるまでは、被疑者や被告人を無罪として扱わなければならないという原則。
[詳しく解説]
犯罪事実があったことを証明するのは検察官の役割です。そして有罪判決を受けないかぎり、被疑者や被告人は無罪と扱われます。憲法31条は「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」としています。ここには、法律の定める手続きによって有罪判決を受けるまでは、刑罰を科せられないという無罪推定の原則が含まれると解されています。無罪推定の原則は国際人権規約B規約第10条2項a号などにも明文化されています。
ただ、現実には、逮捕・起訴されれば有罪であるかのような報道がなされることが多いのです。これは無罪推定の原則から問題があるのみならず、裁判員候補者に無用の予断を抱かせる点でも問題です。そうならないように、日本新聞協会やNHKは、裁判員制度開始にあたって指針を設け、「被疑者の対人関係や成育歴等のプロフィ(ー)ルは、当該事件の本質や背景を理解するうえで必要な範囲内で報じる。前科・前歴については、これまで同様、慎重に取り扱う」としています。しかし実際は、守られていない報道が多いように思います。