'89~'90秋冬パリコレに初参加したイタリアのデザイナー、ロメオ・ジリが、「ビザンチン」をテーマにした作品を発表し、大きな話題を呼んだ。ビザンチン帝国(東ローマ帝国・4~15世紀)は、地理的にも時代的にも多様な文化をもつが、大きな特徴は、古代ローマなどの西の文化とペルシャなどの東方文化との融合である。服装の面での交流もあり、織物の分野では、東方から筬(おさ)と紋織りを学び、養蚕に成功し、ダマスク(damask綸子〈りんず〉や緞子〈どんす〉に似た織物)や、ブロケード(brocade金・銀糸や多彩な色で染めた糸で花や唐草、風景などを織りこんだ織物)など、豪華で装飾性豊かな絹織物を作った。ジリの作品は、こうした感覚の素材を使い、華麗に展開したものである。