一般物価水準が持続的に下落する状況のこと。2001年3月の内閣府「月例経済報告」において、持続的な物価下落をデフレと定義した上で、日本経済が「緩やかなデフレ」にあると判断。しかし、その後の「いざなぎ超え」の景気拡張(→「景気判断(2008年3月)」)の継続により、デフレ脱却の時期に焦点が集まった。その際、デフレについては、従来は、政府がGDPデフレーター(物価水準を示す指標。名目GDP÷実質GDPで算出)、日本銀行が消費者物価指数と、政府と日本銀行で異なる物価指標を用いて判断されてきた。日本銀行では消費者物価指数の上昇率が「安定的にゼロを上回る」場合をデフレ脱却と判断し、06年3月には量的緩和政策の解除に踏み切った。一方、政府もデフレ脱却の判断根拠を従来のGDPデフレーターだけでなく、GDPギャップや単位労働コストなど、複数の指標の動向により判断することとなった。この背景には、GDPデフレーターでは、輸入がGDPの控除項目であることから、原油など輸入物価の上昇によって直接的には物価下落要因となってしまい、デフレ判断に不利になる事情がある。なお、かつては一般物価水準が文字通り下落する事態はなく、円高や緊縮的な財政金融政策などによる総需要の抑制を、デフレ圧力と呼んでいた。07年から08年にかけては原油やエネルギー価格の高騰があり、一時はデフレからの完全脱却も確実との観測も広まったが、08年9月のリーマン・ショックに端を発した世界同時不況により、日本経済は雇用不安が社会問題化するほどに急激な景気後退に陥った。かくて、政府の公式のデフレ脱却宣言がなされないまま、再び深刻なデフレ局面に逆戻りするリスクも指摘されている。