ある企業にとって都合の良いように、財務諸表の記載内容を故意にゆがめて開示すること。通常、実態よりも過大な利益を計上して財務諸表を良く見せかけることを粉飾とよび、反対に利益を隠蔽(いんぺい)して実態よりも経営成績を悪く見せかけることを逆粉飾という。これらは、ともに不正な会計処理であり、粉飾の事実が明らかになったときには会社法並びに金融商品取引法に基づく制裁を受けることとなる。とりわけ、2000年以降はカネボウによる利益の捻出など大規模な粉飾問題が相次ぎ、07年に改正された公認会計士法では、粉飾に関与した監査人への罰則が強化されている。一方で、最近のオリンパスの事例にもみられるように、現在の監査制度では会計士が完全に粉飾を見抜くのは困難であり、粉飾の防止にはコーポレートガバナンスの強化が必要であるとの見解も見られる。