アジア共通通貨とは、ヨーロッパ(ユーロ)と同様に、東アジアにおける共通通貨を創設しようする構想。アジア通貨危機を契機にして東南アジア諸国連合(ASEAN)+3の通貨当局は東アジアにおける通貨政策の地域協力の必要性を認識し、通貨スワップ協定によるチェンマイ・イニシアチブ(CMI)が決定され、その後、東アジアにおける共通通貨の検討が進行した。しかし、現在はヨーロッパ債務危機の進行もあり停滞している。方向としては、ヨーロッパと同様に、東アジアにおいて共通通貨バスケット単位(ACU ; Asian Currency Unit アジア通貨単位)を創設・試算する。その単位を基礎として各国の通貨当局が共通の通貨政策を採用し、域内通貨間の為替相場を安定化させ、共通通貨政策圏を作り、そののち、共通通貨にしようとするものであった。欧州通貨統合のベースとなった「最適通貨圏」の条件(同質的類似的な経済・開放された貿易・十分な労働力移動)を満たしていることがベースとなる。しかし、アジアはヨーロッパとは違い、政治体制、宗教、人種、言語などに多様性があり、さらに経済発展度合いや経済規模において著しく格差があり、ヨーロッパ以上の困難さが予想される。