日本農業を成長産業へと転換させるため、官邸主導で取り組んでいる諸制度の見直しのこと。第2次安倍晋三内閣の政権下において、日本経済の再生・活性化をめざすために掲げられた、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の一環として位置づけられている。この農政改革は、農林水産省や与党農林部会による立案ではなく、官邸主導によって農政の基本骨格が策定されている点に特徴があり、規制改革会議や産業競争力会議など、首相直属機関の意見が強く反映された内容となっている。農政の基本方針は、「食料・農業・農村基本計画」にて定められるべきとされてきた。しかし農政改革では、第一に、この基本計画の方向性を示す「農林水産業・地域の活力創造プラン」(2013年)を決定し、農地中間管理機構の創設、経営所得安定対策の見直し、水田フル活用と米政策の見直し、日本型直接支払制度の創設の「4つの改革」を打ち出している。第二に、農業協同組合(農協)・農業委員会・農業生産法人に関する諸制度の改革を推進し、関連法制度の改正に取り組んでいる。全体的に、市場経済を重視する方向性への制度変更に主眼が置かれており、一連の農政改革は企業的農業の促進をめざしているといえる。