共通する政治的原則に基づいて結成され、自ら国民的利益と信じるところを綱領(→「マニフェスト」)、規約によって表現して支持を集め、その支持を通じて政権獲得を目指し、さらには政権を担当しようとする政治組織。大衆民主主義の登場とともに各国で顕著に発展した。多くの場合、憲法等の公式の文書で触れられてはいないが、現代の民主主義にとって決定的に重要な組織であり、現代民主主義の政治は政党政治であることが当然のこととされている。政党は、(1)国民の意見と利益をその政策に表現し、(2)有権者の支持を求めて選挙戦を戦い、(3)多数者の支持に基づいて政権を担当する。(4)政権を獲得できなかった政党は野党として、政府を批判、監督する。(5)さらにこのような活動を通じて、新しい政策や構想を提出し、国民に対する政治教育を行う。議院内閣制では、議会内の多数政党が政権を獲得して内閣を構成するが、大統領制の下では、政党は議会内の政党とは多少とも別個に大統領選挙ごとに再編される。そのためアメリカ合衆国では、大統領選出をめぐって登場する政党は4年ごとに出現する幽霊政党ともよばれている。政治参加が少数者に限られていた時期の政党は地元の名望家として選出された議員が議会内で結成するクラブという形式をとり、名望家政党あるいは議員政党などとよばれていた。大衆民主主義の成立とともに、政党は中央に本部を、各選挙区に支部をおき、党の公認ないし指名を受けた候補者が選挙戦を戦う大衆政党(mass party)に発展する。このような政党はできる限り多くの支持を得られるような綱領を掲げることから包括政党(catch all party)ともよばれる。