諸外国では委員会審査は、議員同士の議論や話し合い、公聴会などが中心だが、日本では帝国議会以来、提出者または発議者に法案等の内容等についてただす質疑と、それに対する答弁を交互に繰り返す独特の一問一答方式が発達した。この方式は政府の追及には適する一方で、政府が言質を取られないよう論戦を回避したり、内容が専門的になり過ぎたり、大臣が官僚の作成した答弁を棒読みする傾向なども生んだ。また一問一答方式は、一つ尋ねて一つ答え、さらに一つ尋ねて一つ答えるということを繰り返す無限の過程で、終わりがなく、このような日本の委員会審査の方式が野党の審議遅延策に利用されていることが、与党による強行採決の背景ともなっている。質疑と答弁については、1999年の第146回国会で、政府委員(大臣に代わって答弁できる各省庁の局長クラスの官僚)制度が廃止され、また総理大臣の出席する基本的質疑と、それ以外の質疑が区別されるなどの運用の変更が行われた。政府委員廃止後も、政府特別補佐人や政府参考人の制度で実質的に官僚による答弁が維持されてきたが、2009年に政治主導を掲げる民主党を中心とする政権が発足し、官僚答弁の抑制的な運用がなされたが、政権の後半には復活の傾向が見られた。12年に自由民主党と公明党に政権が戻った後には、まだ審議の回数も少なく、明確な傾向は明らかではない。