国会法は「委員会は、一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験者等から意見を聴くことができる」と規定している。総予算及び重要な歳入法案(増税法案等)については、必ず開かなければならないとしているが、これら以外でも、重要法案では公聴会が開かれる例が多い。国会になってアメリカの公聴会の制度を模したものだが、アメリカでは閣僚であっても議員以外の者から意見を聞くのはすべて公聴会なので、公聴会が委員会審査の中核的活動をなすが、国会は閣僚はもちろんそれ以外の誰でも委員会に参考人として呼んで質疑ができるから、公聴会は極めて形式的なものになっている。公聴会で意見を述べる者を公述人といい、規則では公述人となることを希望する者は誰でもあらかじめ申し出ることができることになっているが、実際は各会派が推薦している。国会で公聴会が意味をもっているのは、むしろ審議スケジュールの観点からである。国会運営の慣行から、公聴会が終われば、締めくくり質疑を行って、採決になるから、与党としては公聴会が設定できれば採決にたどり着けることが確実になるからである。このため特に与野党の対決法案では、公聴会の設定が法案をめぐる攻防の一つのステップとなることがある。一方で、公聴会が終われば締めくくり質疑、採決となり、時間的余裕がないから公述人の意見が賛否や修正内容に反映されることは全くないと言ってよい。なお、報道などでは、国会に公述人を呼んで意見を聞くのを中央公聴会、委員が地方に出向いて意見を聞くのを地方公聴会と呼んでいるが、正式の公聴会はこの場合の中央公聴会で、地方公聴会と呼んでいるのは、国会法制上は委員を地方に派遣して意見を聞く委員派遣という制度に属するものである。