議院の本会議の審議を能率的にするために少数の議員で組織される事前審査機関が委員会。一定の所管事項をもって常設される常任委員会と、案件ごとに設置される特別委員会がある。戦前の帝国議会は本会議中心主義に従い、本会議での議論を踏まえて法案の細部を審査する特別委員会を基本としたが、国会はアメリカに倣って常任委員会を基本とした。常任委員会は国会に専門性をもたらす一方、行政府の所管省庁との癒着(特に与党議員の場合)をもたらし、族議員発生の制度的背景でもある。衆議院(衆院)と参議院(参院)の常任委員会は、2001年1月の中央省庁の再編に合わせて再編成され、ともに17になった。委員会の構成員(委員)は、会派の議員数の比率により、会派に割り当てられる。委員会は付託された案件を審査し、議院に報告するほか、所管事項について調査し、また法案を提出できる。必要に応じ小委員会や分科会を設置できる。ねじれ国会になって、与野党の合意を形成するために、国会の初期に用いられていた小委員会を活用すべしという議論があるが、実際にはそのような利用に至っていない。特別委員会は常任委員会の所管に属しない事項の審査のほか、関連法案を一つの委員会でまとめて能率よく審査する意味がある。1993年の細川護煕内閣の政治改革特別委員会、98年の橋本龍太郎内閣の行政改革特別委員会、2005年の小泉純一郎内閣の郵政民営化特別委員会、12年の野田佳彦内閣の社会保障と税の一体改革特別委員会など、内閣が命運をかける法案はほとんどそのための特別委員会を設置して審査されている。その他最近では、災害対策特別委員会、沖縄及び北方問題特別委員会、消費者問題特別委員会など、毎会期のはじめに同じ特別委員会が設置され、特別委員会の常任委員会化も目立つ。11年の東日本大震災後は、衆参とも東日本大震災復興特別委員会を設置し、また衆院は国会原発事故調査委員会の提言に従い、13年の通常国会で原子力問題調査特別委員会を置き、参院はその年の参院選挙後に原子力問題特別委員会を置いたが、参院は15年の通常国会から上記二つの特別委員会を統合し、東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会としている。