国政選挙に当たって政党が基本政策について具体的な数値目標、実行期限、財源などを明示した政権公約。政策綱領ともいう。従来の総花的な選挙公約に比べて、各政党の公約実行が検証可能となる。北川正恭前三重県知事が2003年1月に提唱し、同年11月総選挙で自由民主党(自民党)、民主党など主要政党が相次いで発表した。自民党は「郵政事業民営化」など小泉改革を盛り込み、民主党は経済・景気、行政改革など5分野のマニフェストを作成した。マニフェスト文書は配布が禁止されていたが、03年10月に国政選挙に限っては配布できるよう公選法が改正された。マニフェスト作成は地方選挙にも広がっており、「ローカルマニフェスト推進首長連盟」が05年2月に、「ローカルマニフェスト推進地方議員連盟」が同年5月に発足した。統一地方選を前に07年2月に首長選でもビラ形式(国政選挙ではパンフレット形式でも可能)での配布を認める公選法改正が実現。同年6月には衆院選・参院選の比例区を対象にマニフェスト配布場所を拡大する改正公選法が成立した。09年8月の総選挙では民主党マニフェストが躍進に大きな役割を果たした。しかし実際に政権に就いてみると、財源がネックとなってマニフェストの実行がほぼ不可能になっており、民主党は11年1月の党大会でマニフェスト見直しを決めた。自民党は、民主党のマニフェストのうち、(1)子ども手当、(2)高速道路無料化、(3)高校無償化、(4)(農家の)戸別所得補償―を「バラマキ4K」と呼び、その撤回を求めた。12年総選挙では、自民党は民主党の「マニフェスト」がほとんど実現せず、国民の信頼を裏切ったとして、マニフェストという名称そのものを嫌い、単に「政権公約」と呼んだ。