内閣総理大臣(首相)は、内閣の長として内閣の構成員である国務大臣の任免権をもつとともに、閣議を主宰し、内閣の重要政策に関する基本方針を閣議で発議するほか、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督する。さらに、主任の大臣として内閣府の所掌事務を統括するほか、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権をもち、外国からの武力攻撃などに際して自衛隊の出動を命ずることができる。また総理大臣は、国会に対して内閣を代表して議案を提出し、一般国務や外交案件について国会に報告する。さらに、内閣がもつ衆議院を解散する権能も、内閣改造と同様、総理大臣の専権事項と受けとめられる傾向が見られる。憲法や法律に定められた内閣総理大臣の権限は、特に戦前に比べて格段に強化されてはいるが、それをどの程度活用し得るかは個々の総理大臣がよって立つ与党における権力基盤の強弱や、総理大臣に対する国民の支持などにより決定される。