特定の重要な事項について、内閣において首相や大臣などの意見が時に食い違うことがある。そのようなとき、それを解消し、内閣の統一した見解を野党や世論に対して明らかにし、問題に対処することが必要となる。こうした見解を政府統一見解という。最近では、原発の安全性に関する統一見解(2011年7月)や消費税の使途に関する統一見解(12年1月)などがある。あるいは、集団的自衛権についての研究に関する統一見解(01年5月)などがある。後者のような法令の解釈にかかわるタイプの政府統一見解について、政府は次のように考えている。
「お尋ねの『政府の統一見解』とは、憲法を始めとする法令の解釈に関する政府の見解を指すものと考えられるところ、一般的に、憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものである。政府による法令の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであり、御指摘のような国内外の情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に法令の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えられる」(衆議院議員伊藤英成君提出内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問に対する答弁書、2003年7月)。