核、化学、生物兵器やその運搬手段としての弾道ミサイルなどは化学的爆発を用いない非正規兵器として20世紀に普及し、一括して大量破壊兵器と呼ばれる。冷戦期にはこれに対する様々な国際的規制(核不拡散条約、化学兵器禁止条約、生物兵器禁止条約など)が導入されてきた。しかし冷戦終焉(しゅうえん)以降、これらの兵器がいわゆる「ならず者国家」やテロ組織によって取得、使用される脅威が強く認識されるようになった。湾岸戦争後のイラクで核兵器開発が進行していたことが明らかになり、その後、北朝鮮、イランの核開発疑惑も表面化した。またリビアは2003年12月、過去の大量破壊兵器保有計画の存在を認め、その破棄と国際査察の受け入れを表明した。04年2月、パキスタンでは「原爆の父」カーン博士が個人的に核関連技術を海外に提供したと公表されたが、事件の全貌については未解明の点が多い。また、日本でのオウム真理教によるサリンなどを用いたテロやアメリカでの炭疽菌事件など、テロリストによる化学、生物兵器の使用も現実化している。大量破壊兵器関連物資の船舶輸送を阻止する拡散防止構想(PSI)や非国家主体による大量破壊兵器取得の防止を図る国連安保理決議1540など国際レジームの強化が試みられているが、その効果は限られているとの見方も強い。