タスマニア島を含めて日本の22倍の広さをもつ大陸国家であり、日本・中国を主要相手国とする農牧畜産品とレアアースやシェールガスを含む鉱物・エネルギー資源輸出大国で、高い生活水準を維持している。人口は2480万人(2018年1月現在)に過ぎないが、人口増は年間約30万~40万人。その半分は移民増による移民国家であるうえに、合計特殊出生率は約1.8なので、人口は増え続けている。人口の4分の1は世界中からの移住者で構成される多文化社会であり、先住民族(アボリジナル/アボリジニ)が2.5%を占める。政治・経済的にはミドルパワー(middle power)国家で首都はキャンベラ。6州と2準州よりなる連邦国家で、イギリス国王を元首として、その代理である連邦総督(14年3月28日よりピーター・コスグローブ元豪国防軍司令官が就任)を頂点とする立憲君主制と議院内閣制を採用。連邦議会は二院制で、下院(任期3年、定数150)では労働党と保守連合(自由党・国民党)が相対する準二大政党制が機能している(17年3月現在、労働党69、保守連合76、緑の党1、ゼノフォンチーム1、無所属1他)。上院(任期6年、定数76)では両党の他に緑の党などの少数政党や無所属議員も活躍する(労働党26、保守連合29、緑の党9、ワン・ネイション党4、ゼノフォンチーム3、無所属3、欠員1)。 07年11月の総選挙で敗北した保守連合のジョン・ハワード首相以降、ケビン・ラッド首相、ジュリア・ギラード首相、ラッド首相(第2次)、トニー・アボット首相、そして16年7月より現在のマルコム・ターンブル首相へと政権交代が相次いだ(6代5人)。政権交代は主に各党内での指導権争いが原因だが、20世紀後半よりハワード政権まで続いた資源輸出ブームによる高い経済成長率が頓挫したことも影響している。ギラード首相はハワード首相のもと停滞していた多文化主義政策を11年2月に復活させ、12年10月には『アジアの世紀における豪州』と題した白書を発表し、日本語を含むアジア4言語の教育強化を打ち出し、経済成長の続くアジアとの経済関係の強化を再確認した。しかし、11年に導入した連邦炭素税法(→「炭素価格制度」)に対する国民の批判は強く、同法導入後に政権の人気は低迷。13年6月にラッドが首相に返り咲いて巻き返しを図ったが、13年9月の総選挙で敗退。炭素税廃止を公約としたアボット新首相のもと保守連合政権が誕生した。アボット首相は日本との経済・政治両面での関係強化に熱心で、14年7月には日豪EPAを締結するとともに、豪海軍潜水艦建造(→「潜水艦建造計画」)では日本にも協力を求めるほどであった。潜水艦建造で日本は受注を逃したが、オーストラリアと日本との関係は、全般的に良好。動物愛護・環境保全意識の強いオーストラリア国民の間では、依然として日本の捕鯨活動への批判が強い。 経済は1991年度から25年連続して経済成長を実現したものの、近年では、資源ブーム終了にともない、交易条件の低下が続いているが、人口増にともなう堅調な住宅投資、輸出などに支えられ、2015年度も実質ベースで2.9%の成長を維持。16年度予算によれば、16年度のGDP成長率は2.5%となり、18年度には3.0%まで回復する見通し。