ブラジルのリオデジャネイロ市で、2016年8月5~21日に開催された第31回夏季オリンピック競技大会。南米初開催となる夏季大会であり、パラリンピックも同年9月7~18日に行われた。リオデジャネイロ市が同大会の招致に成功したのは09年で、14年のサッカー・ワールドカップとともに、BRICs(Brazil, Russia, India and China)の雄としての魅力をアピールする場となることが期待された。しかし、景気の大幅な後退や石油公社ペトロブラスをめぐる汚職問題の発覚、ルセフ大統領に対する弾劾審議、デモの頻発、ジカ熱の流行など、経済・政治・社会問題がその後次々に発生。一時はインフラ整備の遅延や、リオデジャネイロ州の財政危機などで、開催自体が危ぶまれる事態となった。世論調査でもオリンピック大会開催に対する悲観的な意見が目立ったが、サッカー競技の金メダル獲得や低予算での閉会式の成功などもあり、最終的には国民も一定の評価を与えた。オリンピック大会は、市内の公共交通網の整備や港湾地区再開発などのレガシーをもたらしたが、ブラジル経済再建のカンフル剤とはならず、また、地方政府の財政危機の悪化や大会招致をめぐる汚職での前州知事・元州知事の逮捕など、「負のレガシー」も残されてしまった。