北大西洋条約機構(NATO)は2008年のブカレストNATO首脳会議で、グルジアとウクライナが「将来的に加盟すること」に合意した。しかし、ロシアに配慮して、加盟をほぼ決定づける「加盟国行動計画(MAP)」への参加を認めることは見送った。14年9月のウェールズNATO首脳会議では、グルジアに対して、その後の改革努力を高く評価して上記決定を再確認した。グルジアは南オセチアをめぐってロシアと対立した08年8月のロシア・グルジア紛争の失敗後、一時ロシアとの国交を断絶したが、12年に発足した新政権がロシアに協調的なアプローチをとっていた。しかし、ウクライナ危機を目の当たりにして、危機感を深め、グルジアは再び欧州連合(EU)、NATOに急接近した。NATO側ももはや揺らぐことなく、協力拡大を発表している。依然、MAP参加の認定には慎重な国が多いが、NATO側はグルジア軍への支援や訓練、演習、連携の強化、相互運用性の向上といった支援パッケージを発表している。NATO訓練センターも設立する予定である。これに対してロシア側も危機感を深め、アブハジアや南オセチアでの演習の拡大で応じている。14年11月、ロシアはアブハジアとの新しい軍事的な統合を目指して「同盟および戦略的パートナーシップに関する条約」を調印した。(→「NATOの東方拡大」)