2010年5月から16年7月まで続いたイギリスの保守党政権。デイビッド・キャメロンは総選挙で敗れた労働党ブラウン政権の退陣を受けて、第75代首相に就任した。就任時の年齢は43歳7か月と若い。女王エリザベス2世とは遠縁の間柄で、名門パブリックスクールのイートン校出身、その後オックスフォード大学を優秀な成績で卒業。若さに加え、気さくな人柄やさわやかな弁舌で05年に保守党党首に選出された。「リベラルな保守派」を自任し、保守党の右傾化を修正。10年5月の総選挙で第1党に復帰すると、第3党の自由民主党と連立を組み、首相の座に就いた。就任後の第一の課題は財政再建で、6年間緊縮財政を実施。この結果、財政赤字は削減し、18年には黒字化することを掲げていたが、これは道半ばとなった。14年9月にはスコットランドの独立を問う住民投票が行われたが、大幅な自治権拡大を約束したことなどで、かろうじて独立を食い止めた。15年5月の総選挙でも勝利し、保守党単独政権に戻ったものの、スコットランド民族党やEU離脱を掲げるイギリス独立党(→「欧州議会選挙(2014年)」)の拡大を許した。この選挙で、EUとの関係を問い直すことをマニフェストにうたい、選挙後、公約通りEUとの再交渉でEU側の譲歩を引き出した。これに勢いを得て、16年6月23日にEU離脱の是非を問う国民投票を行うも、結果は予想外の離脱賛成派の勝利となり(→「イギリスのEU離脱(Brexit)」)、辞意を表明。翌7月に退任した。