ハミド・カルザイ前大統領の任期満了に伴い実施。カルザイ自身は大統領の3選を禁ずる憲法規定に従い、早くから不出馬を表明していた。2013年11月、独立選挙委員会により11人の立候補が正式に登録された(届出は27人)。カルザイの兄であるカユム・カルザイも立候補したが、後に取り下げ、カルザイの後継者は側近のザルマイ・ラスール外務大臣に一本化された。しかし、14年4月5日の第1回投票では、前回大統領選挙(2009年)で2位となったにもかかわらず決選投票をボイコットしたタジク系のアブドラ・アブドラ元外務大臣が45%の得票で首位。パシュトゥン人でタリバン政権崩壊後に欧米から帰国した知識人をまとめるアシュラフ・ガニ元財務大臣が31.6%の得票で2位となり、ラスール(11.4%の得票で3位)は決選投票にも進むことができなかった。決選投票は6月14日に行われたが、その直後にアブドラ陣営がガニ陣営による選挙の不正を告発。選挙委員会に開票中止を呼びかけた。7月7日に開票結果の中間発表でガニの優勢(56.4%の得票)が伝えられると、アブドラ陣営は一時、独自政府樹立をほのめかすなど国内が分裂しかねない状態となった。7月12日、アメリカのジョン・ケリー国務長官が仲介に入り、800万票全てを再検査することと、敗者の側へ首相に相当する新設の行政長官職をあてがうことで両者が基本合意。その後も紆余曲折はあったが、最終的に9月29日にガニ新大統領の就任式が行われ、アブドラも行政長官として宣誓した。アフガニスタン国内で勢力を維持するタリバンとの和平が実現しない中で選挙は挙行され、首都カブールを含む各地で自爆テロや銃撃などの妨害によって、数多くの犠牲者が出た。治安上の懸念から投票所の開設を断念した地域もあった。