2006年12月22日に公布・施行された改正教育基本法第17条「政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない」(新設)との規定に基づき、今後10年間の教育の姿を示し、今後5年間に取り組むべき施策を総合的に推進するための計画として、最初の教育振興基本計画が08年7月に閣議決定された。「教育立国」の実現、世界トップの学力水準を目指す、「知」の創造・継承・発展に貢献できる人材を育成する、など数十項目の目標や施策を掲げているが、そのための予算措置については示されていない。日本の教育予算はOECD諸国の中でも最低水準であることは早くから指摘されており、首相の諮問機関「教育再生懇談会」(→「教育再生会議」)をはじめ多数の団体が、07年度現在、対GDP比3.5%でしかない教育への公財政支出をOECD諸国並みの5%に拡充すべきだとして、その数値目標の記載を提言・要望したが、財務省等の反対により実現しなかった。同計画は、00年の教育改革国民会議が教育予算拡充を図るためにも教育基本法(→「旧教育基本法」)を改正し、同法に同基本計画について規定する必要があると主張したことにより、改正教育基本法に盛り込まれた経緯がある。国の財政事情が厳しいとはいえ、そうした経緯や教育再生懇談会の緊急提言にもかかわらず、同計画が掲げた目標や施策に必要な予算措置も教育予算拡充の数値目標も明記されなかったことについては、政府の無責任を示す以外の何物でもないとの批判が多い。