子どもを産む・産まない、いつ産む、何人産むという生殖(reproduction)に関する決定をカップルや個人、とりわけ女性が自由に決める権利のこと。「性と生殖に関する権利」ともいう。またリプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)と併せてリプロダクティブヘルス/ライツ(reproductive health and rights)といわれることもある。「性と生殖」には、出産だけでなく、結婚や性行動、避妊行動における自己決定も範疇(はんちゅう)に含まれるからである。したがって、結婚・性交・避妊の強要(あるいは禁止)もリプロダクティブライツを侵害するものといえる。リプロダクティブライツの考え方は、1994年に開催されたカイロ会議(国際人口開発会議)で国際的に広く合意されるところとなった。ただし、この権利を行使する手段に人工妊娠中絶が含まれるかという点については、多くの先進国で一定の条件下で合法とされている。一方、ローマ教皇庁などの強硬な反対論もあり、激しい論争が続いている。日本では人口減少問題への対策として出生率に数値目標を設けることの是非が議論されているが、少子化への政策対応を論ずるにあたっては、リプロダクティブライツが出発点となるべきであろう。