サラリーマンの必要経費のこと。給与所得の金額は、その年の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。具体的には、給与収入が180万円以下の場合はその40%(最低65万円)、180万円を超え360万円以下はその30%、360万円を超え660万円以下はその20%、660万円を超え1000万円以下はその10%、1000万円を超える部分はその5%とし、その合計額が給与所得控除額になる。
しかし、サラリーマンの必要経費は必ずしも収入に応じて増加するものとは考えられない。主要国においては多くが必要経費を定額にしたり上限を設けている。そこで、格差を是正し、所得再配分機能を回復させるために、2012年度の税制改正で13年分の所得税から給与収入が1500万円を超える場合は、給与所得控除額を245万円に固定する措置を講じた。14年度の税制改正では、16年分の所得税からこの給与収入の上限を1200万円(給与所得控除額の上限は230万円)まで引き下げた。さらに17年分の所得税からは給与収入の上限を1000万円(給与所得控除額の上限は220万円)まで引き下げた。
18年度の税制改正では、働き方の多様化を理由にして、給与所得控除の規定を大きく見直す。まず、控除額を一律10万円引き下げる。その結果、最低の控除額は55万円になる。ただし、年所得が2400万円(給与年収2595万円)以下の人は基礎控除額を10万円増加させる(改正前38万円、改正後48万円)ので、2つの控除を通算すると控除額は改正前と変わらない。次に、給与所得控除が適用される給与収入の上限を850万円(給与所得控除額の上限は195万円)まで引き下げる。12年度の税制改正から高額な給与所得者の給与所得控除額を制限して税負担を求める改正が続いている。これらとは別に、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等の所得の金額がある人についての所得金額調整控除がある。(→「特定支出控除」「所得税の基礎控除」「公的年金等控除」「所得金額調整控除」)