乳がんの治療法には手術療法、薬物療法、放射線治療があり、手術療法の中に乳房切除術と乳房温存療法とがある。乳房温存療法は、がん病巣を含めた乳房の部分切除を行い、再発を防ぐ目的で、放射線照射を追加するのが一般的である。日本では約20年前から導入され、現在は50%以上の乳がん症例に施行しており、「乳房温存療法ガイドライン」も刊行されている。乳房温存療法を行うためには、がんの乳房内での広がりを正確に診断する必要がある。超音波検査、マンモグラフィー、CT・MRI検査などが併用される。腫瘍の大きさは、3センチ以下が適応とされ、大きな腫瘍の場合、術前化学療法を行って腫瘍を小さくした後に施術することもある。切除された標本を、病理学的に適切に評価することが大切である。