視覚負荷などによる目の酷使は、眼の痛みや乾燥、視力低下のほか、首・肩こり、頭痛、おう吐、腰背部痛まで引き起こすことがある。漢方医学における目の症状は、五臓のうち自律神経と関係の深い「肝」との関わりが大きいと考えられている。枸杞子(くこし)や菊花(きっか)などの生薬は、肝の働きを補い、目の疲れを和らげる。さらに、肝の働きを整える抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、釣藤散(ちょうとうさん)なども頻用される。乾燥を伴う場合は、地黄(じおう)や当帰(とうき)による潤い作用がある四物湯(しもつとう)などで症状が軽減することもある。加齢によるかすみや視力低下には、八味地黄丸(はちみじおうがん)などを使用する。首・肩こりや背部痛があると、目の疲れは一層悪化するため、葛根湯(かっこんとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などで筋肉のこりを取り除くことも重要である。