原子炉の燃料は核分裂性物質(→「核分裂」)(fissile material)で、天然にはウラン-235、人工的なものにはプルトニウム-239やウラン-233がある。現在の原子力発電ではウラン-235を用いるが、資源量は少なく、エネルギー量に換算して石油の数分の1、石炭の数十分の1しかない。したがって、核燃料を資源として意味のある量にしようとすれば、プルトニウム-239などを人工的に作り出す必要がある。そのための装置が高速増殖炉である。しかし、現在開発が目指されているプルトニウムサイクルは、もともと増殖のスピードが遅く、電力会社による試算でも倍増時間(doubling time 1基のFBRが同型同出力の炉をもう1基動かすのに足るプルトニウムを生産するのに要する時間)は90年とされる。これではエネルギー源にならないので、非核分裂性のトリウム(Th-232)をウラン-233に変換して利用するトリウムサイクル(thorium cycle)の構想もある。