核融合炉で最も研究が進んでいるのはトカマク型、それに次いで、自然科学研究機構核融合科学研究所のLHD(Large Helical Device)に代表されるヘリカル(ねじった磁場コイルで「磁場のかご」をつくる)型がある。いずれも、磁場を使ってプラズマを安定的に閉じ込めようとする磁場閉じ込め核融合炉であるが、プラズマを安定的に閉じ込めることに大きな困難がある。そこで、燃料となる重水素と三重水素に四方八方からレーザーを照射し、瞬間的に爆縮して高密度プラズマを作り、核融合反応の実現を目指す慣性核融合方式(inertial confinement fusion)が研究されてきた。最近になって、レーザーで圧縮した燃料にさらに超短パルスの追加レーザーを照射して点火する高速点火方式(fast ignition)や、圧縮した燃料に秒速1000km以上で加速した燃料小片をぶつけて点火する衝撃点火方式(impact fast ignition)などいくつかのアイデアが出され、研究は一歩進んだ。それでも、臨界プラズマ条件の実現にはほど遠い。