原発避難指針などとも呼ばれる。原子力発電所で想定以上の事故が起きることは、1979年のアメリカのスリーマイル島原子力発電所事故で示された。それを受け、「原子力施設等の防災対策について」(いわゆる「防災指針」)が策定された。しかし、福島第一原子力発電所事故では、従来の規制をはるかに超える放射性物質が放出された。そして、政府の防災対策は実質的に機能せず、たくさんの住民が本来なら受けずにすんだ被曝をしたし、安定ヨウ素剤(iodine tablet 放射性ヨウ素の甲状腺集積を予防するために服用する医薬品)の配布もなされなかった。そのため、2012年10月に原子力規制委員会が改定案を示し、13年末現在でさらに改訂中。事故の規模を「全面緊急事態」「施設敷地緊急事態」「警戒事態」と3種類に分類。一方、500μSv(マイクロシーベルト)/時以上は迅速避難、20μSv/時以上は一時移転、0.5μSv/時以上では、迅速な飲食物摂取制限を実施することなどを骨子としている。また、原子力災害対策重点区域を設定し、原子力施設からおおむね半径5kmを目安とする「予防的防護措置を準備する区域(PAZ ; Precautionary Action Zone)」、原子力施設からおおむね30kmを目安とする「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ ; Urgent Protective Action Planning Zone)」、さらにその外側に、「プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域(PPA ; Plume Protection Planning Area)」を設定するとしている。