MPCVはMulti-Purpose Crew Vehicle(多用途有人宇宙船)の略。2010年、アメリカのオバマ大統領は、ブッシュ前大統領が進めていた有人月探査計画を中止し、地球周回軌道の有人活動を民間に開放して、政府は火星軌道に至る深宇宙探査に集中する新政策を発表した。月探査のために開発中だった「オリオン」有人宇宙船は設計変更を受けた上で深宇宙有人探査に転用されることになり、名称も「オリオンMPCV」となった。オリオンからのいちばん大きな変更点は、専用の「アレス1」での打ち上げから、有人対応の「デルタ4」「アトラス5」、オリオンMPCV専用のSLSなど様々なロケットで打ち上げ可能になったことである。4人の宇宙飛行士が搭乗し、最長21日間の飛行が可能。17年に初号機を打ち上げる予定になっている。13年1月には、ESA(欧州宇宙機関)がオリオンMCPV開発に参加することが発表された。ESAは宇宙飛行士が搭乗する再突入カプセル後部に装着し、電力供給や姿勢制御、軌道変更などの機能を受け持つ機械モジュールの開発を担当する。