冷蔵庫や洗濯機などの家電製品から、ハイブリッド自動車(ハイブリッドカー)や電気自動車、電車、新幹線などの、大きな電力を制御する半導体素子。最初はバイポーラ・トランジスタ、MOSトランジスタなど比較的小電力向けと、サイリスタなど新幹線などの大電力向けのみの応用であったが、GTO(gate turn off thyristor)、IGBTなどの新しい構造のデバイスが実用化され、その応用範囲が飛躍的に拡大した。
最近では1000V、1000Aという大きな電力を制御できるデバイスも開発されている。ハイブリッドカーや電気自動車などもパワー半導体により可能になった。身近なところでは冷蔵庫や洗濯機などの家電製品の高性能化や、さらに高い周波数の動作が可能になってきたため、携帯電話の高性能化にも一役買っている。また、材料も現在の主流はシリコンであるが、より高い電圧の制御が可能な炭化シリコン(シリコンカーバイド)や窒化ガリウムも実用化され始めており、高い動作周波数を実現するデバイス構造の改良とともに応用範囲は一層拡大しており、効率が大幅に向上するため、省エネルギーデバイスとして注目されている。