量子効果を積極的に使った素子の総称で、広義には量子閉じ込め効果などを用いたレーザーや電子のバンド間遷移を用いた受光素子、トンネル効果を用いたジョセフソンデバイスやTMR(トンネル磁気抵抗効果)などのデバイスも含まれる。量子効果を積極的に利用した電子デバイスの中で最も早く実用化されたのはHEMTである。これは組成により異なるバンド構造をうまく利用し、電子の移動度を通常のトランジスタよりも数倍大きくしたデバイスである。その後電子1個1個の動きを制御する単電子トランジスタの理論が1989年に発表され、90年代に実験的動作に成功した。現在では簡単な論理回路の動作も実証されている。また量子コンピューターを構成する基本素子である量子ビット(Qbit)を実現するデバイスが超電導デバイスと半導体デバイスを用いてそれぞれ実証された。量子ビットは電子が位相を保ったまま二つの状態間を遷移することが必要であるため、現在のところは極低温が必要であるが、nmオーダーの構造ができれば室温でも動作する可能性がある。(→「量子効果トランジスタ」)