微小なシリコン球面上に半導体集積回路を形成したもの。球面の利用で回路パターンを形成する面積当たりのシリコンの使用量を節約できる。開発されている素子では、球の直径は1mmで、表面に簡単なMOSインバーター回路が形成され動作確認が済んでいる。また、球状半導体の表面にコイルや温度検知回路、制御回路、無線送信回路を形成した無線温度センサー、圧力センサーなどへの応用開発研究が進められている。球状半導体は1個では高機能LSIを形成できないので、機能単位ごとに分割した複数のボールを立体的に連結して、LSIを構成することになる。球状半導体の利点として、製造工程が平面上の半導体の場合よりも大幅に簡素化でき、量産工場を建設する場合の費用は従来に比べて10分の1で済むといわれている。このような利点がありながら、なかなか主流製品にならないのは、集積化が難しく、近年の大規模集積化に追随できないことが大きな原因である。一方で、どの方向から光が当たっても発電できる特性を生かして、太陽電池としての応用も試みられている。