直流電力から交流電力へ変換する逆変換装置のこと。転流方式により他励式と自励式の二つに大別される。他励式は電圧、周波数が固定であるのに対し、自励式は周波数および出力電圧を自由に制御できる。インバーターは基本的にはスイッチング素子で構成されており、使用素子によりトランジスタ・インバーターとサイリスタ・インバーターとがあり、後者は主として大電力用である。出力交流波形は方形波のものと正弦波に近いものとがある。産業分野では直流送電、周波数変換装置、新幹線、太陽光発電システムなど広範囲に及び、家電機器への応用としてはインバーター・エアコン、蛍光灯、テレビなどに組み込まれている。インバーター用スイッチング素子として主としてIGBT(insulated gate bipolar transistor)、サイリスタ、光サイリスタ、GTOなどが使用されているが、さらに大容量化、低損失化を目指して、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体を用いた、高速なスイッチング速度と低いオン抵抗を持つ素子の開発が進められている。インバーターは単体ではなくコンバーターと組で使われることが一般的であり、コンバーター・インバーターと呼ぶほうがより適切である。