発電技術などエネルギー生産システム全体のインベントリー分析(各段階のインプットとアウトプットを定量化し評価すること)の方法で、電力などエネルギーを生産するシステムに投入される直接・間接のエネルギーをライフサイクルにわたり計測し、その値と生産されたエネルギー量との比で表したもの。エネルギー生産システムとして成立するかどうかを判断する指標として使われており、生産エネルギーを投入エネルギーで除したエネルギー収支比が1以上になることが成立条件となる。
発電システムの場合、アウトプットである生産エネルギーは、発電所で生産された発電電力量(送電端)、または電気を消費する需要家にとっては送配変電損失を差し引いた発電電力量(使用端)になる。発電システムの投入エネルギーは、燃料の採掘から発電、送配変電など数多くのプロセスによって構成されており、それぞれのプロセスが製造、利用、廃棄のライフサイクルにおいて必要とする原料、素材、エネルギーをすべてエネルギーに換算して得られる。ただし、発電時に消費される燃料は投入エネルギーに含まれない。
一般に、エネルギー収支比に優れているのは、水力発電、原子力発電、風力発電、地熱発電、石油火力、微粉炭火力の順になる。液化工程で大量にエネルギーを消費するLNG火力発電と、エネルギー密度が低い太陽光発電や波力発電は比較的小さな値となる。原子力発電は、ウラン濃縮法をガス拡散法から遠心分離法にすることによって、エネルギー収支比が大幅に向上する。