制御された単一光子の発生・相互作用・検出を行う素子。所望の性質を持つ光子(photon 質量0の光の量子で、フォトンともいう)1個を発生する単一光子発生器は量子情報処理に重要な応用があるが、通常のレーザー光を単一光子レベルまで弱めても単一光子特有の量子力学的性質を持たない。そこで、パラメトリック下方変換(parametric down conversion 飛んでいる石が何らかの刺激で二つに割れるときのように、エネルギーと運動量の保存を満たしながら、光子が非線形光学効果により二つの光子に割れる現象)による発生法が用いられる。より高効率が見込まれる量子ドットからの蛍光を用いる方法なども研究中。光子同士の相互作用を100%の効率で行うには、まだ実現していないほど強大な非線形光学効果が必要だが、最近は、線形光学量子演算を使った確率的量子演算(→「量子情報」)の実験研究が盛んである。検出器では光子の個数までを識別するものはまだ存在しておらず、光子の有無を検出するフォトンカウンター(photon counter)は従来の光電子増倍管に代わり、最近ではアバランシェフォトダイオード(APD ; avalanche photodiode)が用いられる。光ファイバー通信の波長である1.5μm(マイクロメートル μは10-6=100万分の1)付近での良質なフォトンカウンターは最近までなかったが、化合物半導体光検出器を用いるものや二次の非線形光学効果である和周波発生(sum frequency generation)を用いる方法が研究されている。