クラスター状態のような高度にエンタングルした量子ビットネットワークから出発し、一つ一つの量子ビットを適当な順番と適当な測定法で量子測定することにより、量子コンピューティングを実行する方法(→「エンタングルメント」)。並べた量子ビットを一方向に測定していくことから、この名で呼ばれる。量子回路による方法との同等性がある程度わかっているが、全く同等なのか適用可能な計算問題の得意不得意があるか、詳細は今後の研究を待つ。量子回路と呼ばれる従来の理論と全く異なり、どのような未知の入力状態にもきちんと動作する量子ゲートの集積で量子コンピューターを構成するのではなく、「既知の」多体エンタングルメント状態をまず発生してから、観測を行っていく。量子回路モデルの行き詰まり感を打破するものという点で、その研究進展が期待されている。クラスター状態の発生の実用性に関する研究も始まったばかりである。2008年、大阪大学の量子情報グループでは、真にクラスター状態といえる条件を満たした四つの光子の発生と、一方向量子計算実験に成功している。