炭素原子による五角形と六角形が球状につながった分子の総称。その代表であるC60はサッカーボールと同じ形状で直径約0.7nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)。C60以外にもCを複数(70,74,76,78,80,82,84,…)含むフラーレンが見つかっている。フラーレンのかごの中に金属やさまざまな原子を閉じ込めたり、フラーレンを化学修飾して生体分子をつけることも可能でドラッグデリバリーシステム、ナノ触媒などへの応用も期待される。フラーレンが集まったナノ粒子構造体を作製する試みも行われており、化学修飾と有機溶媒中での自己組織化をうまく利用すると中が中空なカプセル、コーン、リボンなどさまざまな形状の集合体を作ることができる。フラーレンに炭素と水素の鎖をつけてフラーレンの間隔をうまく保つことにより液体状のフラーレン構造体も作られた。鎖の長さを変えることで液体の粘度を調節することができる。フラーレンは表面の割合が大きく活性なため殺菌効果もある。生体に危険な面も考えられるが、ドラッグデリバリーなどでがん細胞など所定の場所に運べれば大きな力を発揮することが期待される。