分子ベアリング(molecular bearing)などとも呼ばれる。グラファイト(黒鉛)の板の間にフラーレンを挟んだ構造では、並べたパチンコ玉の上に置いた板のようにグラファイトが滑ることが確認され、フラーレンがベアリングのボールとして働くことが確認された。さらに、カーボンナノチューブに化学修飾したフラーレンを入れた構造では、化学修飾が軸のように働き、カーボンナノチューブの中でフラーレンがあたかもナノスケールのコマのように回転する。多量のフラーレンが一様に回転していることが核磁気共鳴(NMR)測定で確認され、温度が高くなるほど回転が速くなることもわかった。これらのナノスケールの回転機構はナノカーやナノ電車の構成部品として使用できるほか、熱を回転エネルギーに変換する装置や微小機械のモーターへの応用が期待される。