科学技術を対象とする応用倫理学の総称。データ捏造(ねつぞう)や他人の業績の剽窃(ひょうせつ)、あるいは研究費の不正利用をしないといった科学者・技術者の内部規範を扱う分野と、科学技術と社会の関係の結び方を扱う分野の2種類に大別できる。前者は、いわゆる「STAP細胞論文騒動」で見られたような科学者の不適切な行為(ミスコンダクト)を扱うもので、「科学者の社会的責任」論、研究(者)倫理(research ethics)、技術(者)倫理などを含む。諸疑惑の発覚を念頭に、OECDの科学政策委員会では行動規範が作成され、日本学術会議でも、2006年に「科学者の行動規範」が採択された。国内で頻発する研究資金をめぐる不正を含めて、その重要性は再び増しつつある。後者は、生命倫理、環境倫理、情報倫理といった領域から構成される。2012年の鳥インフルエンザ論文騒動は、生命倫理の典型的な課題である。