曲面・曲線の概念の拡張。H.ポアンカレの解曲面(→「微分方程式」)から、曲面・曲線の形状の研究が始まった。曲線(curve)は一次元の線分を、曲面(surface)は二次元の平面を、それぞれ(曲げて)貼り合わせたものとみなせる。これと同じようにして、n次元の空間を貼り合わせたものがn次元の多様体。この貼り合わせ方で多様体の種類が決まる。
最もシンプルなものは位相多様体(topological manifold)であり、貼り合わせの条件は同相だけ。次に、PL多様体(piecewise linear manifold) は三角形分割でき、各三角形内で線形写像になる区分線形(piecewise linear)な貼り合わせで作られる。
微分可能多様体(differentiable manifold)は貼り合わせが滑らかなもの。複素n次元多様体(complex manifold)は複素数(→「虚数」)でのn次元(実数では2n次元)の空間を多項式の関数で貼り合わせたものである。これが、小平邦彦、広中平祐、森重文の研究対象だった。