繰り込み群理論(renormalization group theory)ともいう。連続体である時空上の場の自由度は無限大である。この場を量子力学で扱うと真空エネルギーが無限大に発散するという矛盾が生じる。しかし、そこからの差額の変動のエネルギーを物質のエネルギーであると見直せば、有限の量の間の関係として計算が可能になる。すなわち、無限大を真空に繰り込んで新たな真空とみなせば、有限の理論が回復することになる。こうした繰り込み理論は、当初は電磁場あるいは荷電粒子の間に生じる電磁気学的相互作用を量子の交換としてとらえる朝永振一郎やJ.シュビンガーの量子電磁力学(QED ; quantum electrodynamics)で成功した。後にゲージ理論(→「ゲージ場理論」)による素粒子相互作用の標準理論において原理の地位に高められた。また、繰り込み理論は物性理論の相転移の理論においても重要な役割を果たしており、物理法則は常に測定状況に依存するという哲学の表現であるともいえる。