CCl2F2、CCl2FCClF2など、メタンやエタンなどの炭化水素のフッ素、塩素置換体のクロロフルオロカーボン(CFC ; chlorofluorocarbon)の総称だが、日本独自の慣用名である。強い毒性は認められず、不燃性で熱的に安定である。冷蔵庫やエアコンの優れた冷媒として利用された一方、精密機器や半導体製造の過程の洗浄剤、またスプレーの噴霧剤、プラスチックの発泡剤としても多量に用いられた。フロンは非常に安定であるため、下層の大気圏では分解されにくく、オゾン層まで達し、そこで紫外線により分解されて、塩素原子を生成する。その塩素原子が2O3(オゾン)→3O2(酸素分子)の反応の触媒として作用し、生物に有害な紫外線を吸収しているオゾン層を破壊する。この破壊を防止するためにCFCの製造が禁止され、代替物質として暫定的にCHClF2(HCFC-22)、CHCl2CF3(HCFC-123)などのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC ; hydro chlorofluorocarbon)が導入された。HCFCはC-H結合をもっているので、オゾン層より下の大気圏でHO・ラジカル(・は不対電子を示す)と反応して分解するであろうとみられている。