結晶は原子、イオン、分子などが周期性をもって規則正しく配列した固体である。結晶は電気、磁気、光、あるいは弾性率などの物性に異方性(方向によって異なる性質)がある。それに対して、アモルファス(非晶質)は等方的(方向によって異ならない)性質をもつ。
結晶の種類には、食塩のようにイオン結合によって作られたイオン結晶(ionic crystal)、ダイヤモンドのように共有結合でできた共有結合結晶(covalent bond crystal)、ドライアイスのように分子間結合でできている分子結晶(molecular crystal)、さらに金や銅などの金属結晶(metal crystal)、ほかにも氷などにみられる水素結合による結晶がある(→「化学結合」)。
結晶中では原子や分子あるいはその集まりが周期性をもって並んでいるので、繰り返しの単位の代表を一つの点で表すと、その点を格子点とする三次元格子ができる。この空間格子は、近接する8個の格子点で形成される平行六面体を単位格子(unit lattice)として表すことができる。
結晶は対称性に基づいて七つの晶系(crystal system)に分類され、それに属する単位格子がある。立方晶系(cubic system)の単位格子は立方体、正方晶系(tetragonal system)の単位格子は底面が正方形の直方体、斜方晶系(直方晶系 orthorhombic system)は直方体が単位格子となる。六方晶系(hexagonal system)の単位格子は正方格子の単位格子の底面を正方形から120°に開いて菱形にしたもので、底面に垂直な6回回転対称軸(軸の回りに60°回転したとき元の構造と一致する)をもっている。一方、三方晶系(trigonal system)の単位格子は六方晶系と同じ形であるが、3回対称軸(120°回転に対して対称)しかもたない。立方体の体対角線の頂点の両端を引き延ばすと菱面体ができるが、これが単位格子となる菱面体晶系(rhombohedral system)は三方晶系に含まれる。単斜晶系(monoclinic system)の単位格子は、直方体の底面の長方形を平行四辺形にしたもの。三斜晶系(triclinic system)の単位格子は6面すべてが平行四辺形の平行六面体である。
立方晶系の単位格子は前述の立方体の他に中心に格子点がある体心立方体、6面すべての中心に格子点がある面心立方体があり、これらを複合格子(complex lattice)という。8個の頂点だけに格子点をもつものを単純格子(simple lattice)と言う。複合格子は他に正方晶系に一つ、斜方晶系に三つ、単斜晶系に一つあり、単位格子は全部で14種類ある。これら14種はブラベ格子(Bravais lattice)と呼ばれている。