ローマ・カトリック、カトリック教会ともいう。カトリックとはギリシャ語で「普遍的」の意。中国や日本では旧教、天主教とも称された。キリスト教の最初の教団はエルサレムに生まれたが、ユダヤ教に攻撃され、使徒パウロを中心にして小アジアやギリシャに伝道が行われ、ローマにも達して、64年のネロの迫害に際してパウロとペテロが殉死し、ペテロをローマの初代司教とする伝承が生まれた。3世紀にローマにおけるペテロ伝承に従って、東方正教会に対してローマ教皇(法王)の首位権を主張し、ローマ教会を普遍的教会とした。
ローマ教皇は地上におけるキリストの代理者として、正統教義を継承しているとして諸教会の上に君臨するようになった。その信徒は世界のキリスト教徒の半数以上を占める。ローマ教皇はバチカン市国元首であり、教皇庁は世界各国と外交関係を結んでいる。カトリックは保守的な宗教とみなされがちだが、第二バチカン公会議(1962~65年)で社会問題に対する積極的な取り組みが決定され、カトリック教徒の社会運動が盛んになった。特にラテンアメリカでは、軍政下で貧困と抑圧に苦しむ民衆を解放し救済することを目指す解放の神学(theology of liberation)が唱えられ、反体制運動に多大な影響を及ぼしている。