歌舞伎俳優の名跡。屋号は京屋。4代目(1920~2012)は、6代目大谷友右衛門(1886~1943)の次男として立役の道を歩み始めるが、徴兵され長いブランクを余儀なくされる。戦後、7代目大谷友右衛門を襲名し、義父7代目松本幸四郎(1870~1949)のもとで舞台に立ち、改めて女形(おんながた)の修業を始める。戦死した3代目雀右衛門の長男と親友だった関係から、1964年に4代目を襲名。戦後の歌舞伎界においては、6代目中村歌右衛門(1917~2001)と7代目尾上梅幸(1915~95)が女形の双璧とされる中、中途から女形に転じた上、一時期映画界に身をおいたこともあって役に恵まれない時期もあったが、地道な努力を続けた結果、次第に華やかで情緒あふれる芸風を開花させた。歌右衛門没後は、女形として最高位の大役を次々と演じて一時代を築く。2004年文化勲章。長男(1949~)が8代目友右衛門を継承。次男の7代目中村芝雀(1955~)が、16年3月に5代目雀右衛門を襲名し、5代目中村時蔵(1955~)とともに5代目坂東玉三郎(1950~)の次代を担う女形となることが期待されている。披露興行に先立ち、1月には浅草で「お練り」が行われた。