ビバップを継承しながら、リズムやコード進行などの約束事を少なくして、即興(→「アドリブ(インプロビゼーション)」)の自由度を重視するジャズのスタイル。1940年代末にレニー・トリスターノの先駆的な試みがあったが、50年代末にオーネット・コールマンがドン・チェリーやチャーリー・ヘイデンらと『ジャズ来るべきもの』『フリー・ジャズ』といったアルバムを発表し、ニューヨークのジャズ・クラブに出演してから注目を浴びはじめた。当初は一見「無秩序」に聞こえる演奏が議論を巻き起こしたが、オーネットの音楽はリズム・アンド・ブルースや20世紀初頭のニューオーリンズ・ジャズ(→「ディキシーランド・ジャズ」)の伝統も受け継いだものだった。60年代にはジョン・コルトレーンが呼応して独自のフリー・ジャズを始めるなど、その手法はジャズ界に大きな影響を与えた。主なミュージシャンとしては、ほかにセシル・テイラー、サン・ラ、アーチー・シェップ、チャーリー・ミンガスなどがいる。