[一言で解説]
裁判員候補者に選ばれても、70歳以上の者や、学生など、法で決められた一定の事情があれば、裁判員になることを辞退できる。それを辞退事由という。
[詳しく解説]
裁判員の仕事は、連日裁判所に通って、慣れない裁判を理解して判断を重ねるという点では、重い仕事です。その重みに耐えられないと法が認めたときに、辞退が認められます。70歳以上の人や、学生がそうです。他にも、重い病気またはケガのため、裁判に参加することがむずかしいときにも、医師の診断書の写しなどを添えて辞退を申し入れることができます。思想的な辞退は認められるでしょうか。さんざん議論されてきましたが、政令で「身体上、精神上、または経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当な理由」があれば辞退できると定められました。これは、思想信条を理由にした辞退を明確に認めたとはいえません。むしろ、「重大な不利益」という文言を見る限り、単に「人を裁きたくない」というだけでは辞退を認めないと読むこともできます。思想信条的に「裁きたくない」のであれば、質問票や第1回公判期日の選任手続きの質問時に、しっかりとそう意思表明をすべきです。