[一言で解説]
民事裁判とは、市民同士のお金の貸し借りをめぐる裁判のように、私法上の権利義務をめぐる争いを法的に解決する裁判である。刑事裁判とは、被告人の行為が犯罪となるか、またどのような刑罰を科すべきかを確定する裁判である。
[詳しく解説]
民事裁判は、たとえば、お金を貸したはずなのに、相手が借りていないと言い出してもめている場合に利用されます。ここでは、民法などの私法で定められている権利義務をめぐって争いが起きています。そのような私法上の権利義務をめぐる争いに、法的に決着をつけるのが「民事裁判」です。ですから、原告になるのも、被告になるのも、どちらも市民です。
これに対して「刑事裁判」は、刑法などの刑罰法令で定められた罪と罰について、本当に犯罪が行われたのか、どの程度の罰を科するべきかを確定する裁判です。殺人事件が起きれば、そこには加害者と被害者がいます。被害者の心中は察するにあまりありますが、被害者が原告になるのではありません。殺人事件の刑事裁判は刑罰を科するかどうかという、国家権力と被告人である市民との裁判であって、被害者の権利回復を目指すものではありません。検察官と被告人とが、犯罪事実や刑の重さをめぐって争うのが刑事裁判なのです。