1974年に発効した、複数の繊維についての包括的な輸出自主規制である、繊維製品の国際貿易に関する取り決めの略称。繊維貿易に対しては、50年代以来、GATTの例外となる措置がとられてきた。まず、当初は日本やインド、香港からの綿の貿易に対して、アメリカからの要請により輸出自主規制がとられてきたものの、61年には綿製品の輸入急増に対して、通常のGATTの措置よりも緩い基準でセーフガードを発動することを認めた綿製品の貿易に関する短期取り決めが発動し、この短期取り決めは翌62年に、長期取り決めとなった。その後、繊維製品が多様化するに従い、取り決めの対象も多様化する動きが強まり、74年に包括的なMFAが発効した、というのがWTO(世界貿易機関)発足までの経緯である。MFAの有効期間は当初4年であったが、その後6度の延長をみることになり、輸出国(発展途上国側)からは、繊維貿易を、一刻も早く正常なGATTのルールの下に置くようにとの要請が高まった。それを受けて、ウルグアイ・ラウンドでは最終的に、10年間の経過期間の後に、繊維分野を完全にGATTの規律に置くことで合意が得られた。この決定に従い、2005年1月1日には繊維製品の輸入数量規制が全廃されたが、その直後から中国の欧米市場向け繊維輸出が急増したことから、貿易摩擦が激化している。