オフィス市場は住宅市場と比べると景気の動向に左右されやすく変動しやすい。住宅の場合、需要の総量自身は景気ではなく人口、世帯数の変動により変化する要素が強いのに対して、オフィス床需要は景気の変動によって大きく変化するためである。サブプライムローン問題に端を発した金融危機による世界経済の低迷により、2007年ころをピークにしてオフィス床需要は減少し、空室率が上昇し、賃料は下落している。三鬼商事の「MIKIオフィスリポート」によって3大都市(東京、大阪、名古屋)のビジネス地区のオフィス市場の状況を見ると、10年12月の空室率は東京が8.91%(前年12月8.09%)、大阪が11.88%(前年12月10.34%)、名古屋が12.91%(前年12月12.58%)と、東京と大阪は07年12月を底に、名古屋は06年12月を底に上昇している。また、10年12月の平均賃料も、東京が1万7578円/月/坪(前年同月比7.3%減)、大阪が1万1957円/月/坪(前年同月比3.8%減)、名古屋が1万1110円/月/坪(前年同月比1.1%減)と、東京と名古屋は08年を、大阪は07年をピークに下落しており、オフィス市場が低迷していることを示している。