オフィス市場は住宅市場と比べると景気の動向に左右されやすく変動しやすい。住宅の場合需要の総量自身は景気ではなく人口、世帯数の変動により変化する要素が強いのに対して、オフィス床需要は景気の変動によって大きく変化するためである。サブプライムローン問題に端を発した金融危機による世界経済の低迷により、2007年ころをピークにしてオフィス床需要は減少し、空室率が上昇し、賃料は下落している。三鬼商事の「MIKIオフィスリポート」によって三大都市(東京、大阪、名古屋)のビジネス地区のオフィス市場の状況をみると、11年11月の空室率は東京が8.9%(前年同月9.04%)、大阪が11.27%(前年同月11.27%)、名古屋が11.65%(前年同月12.85%)とともに減少しているものの、まだ高水準である。とくに大阪と名古屋は引き続き10%を超える。11年11月の平均賃料は、東京が1万6973円/月/坪(前年同月比3.8%減)、大阪が1万1205円/月/坪(前年同月比3.0%減)、名古屋が1万1045円/月/坪(前年同月比0.6%減)となっている。オフィス市場は引き続き高い空室率となり、また賃料の下落も続いており市場は低迷している。